個人事業主の決算で気をつけたい項目に「前払金」と「前払費用」があります。
どちらも、商品代金を先に払って、後から商品・サービスの提供を受ける取引の際に使う勘定科目です。
中でも「前払費用」は注意したい勘定科目の一つで、決算整理仕訳で「前払費用」を使わなかったことで、税務署から「不正な経費計上なのでは?」と余計な疑念を抱かれるケースもあり得ます。
気をつけたいポイントを解説します
「前払金」と「前払費用」の違いに注意!
「前払金」と「前払費用」は、どちらも「後で商品・サービスの提供を受けられる権利」として流動資産に分類される勘定科目です。
実務的には、後でちゃんとした経費に計上する前に「いったん置いておく」ための勘定科目という扱いです。
「前払金」と「前払費用」の使い分けは、前払いするお金が「一過性のもの」か「継続的なものの分割払い」かで区別します。
「前払金」勘定は、単発で発生する一過性の代金の先払いに使う
- 取材で使うホテルを予約し、代金を先払いした
- 外注で取材に行ってもらう費用を前もって渡した
- オンライン講座を予約した代金の先払い
- 商品仕入れ代金の一部を内金として先払いした
例えば、ホテルを単発で予約して代金を先払いした時は、まだ実際に宿泊していませんから、いったん「前払金」で仕訳をしておきます。
そして実際にホテルに泊まった日に「旅費交通費」へ振替の仕訳を行って、経費に計上します。
ぶっちゃけ個人事業主なら、先払いの時点で適用欄に「12月1日分の宿泊代金」と書いていきなり旅費交通費で処理しちゃう人もいます。
ただし、決算日をまたぐ場合は必ず「前払金」勘定を使ってください!
「前払費用」勘定は、継続して発生する費用の先払い分を処理する時に使う
「前払費用」は、決算整理仕訳でもよく使われる勘定科目です。
- レンタルサーバーの年間契約
- 仕事で使う自動車保険の年払い
- 事務所の火災保険を5年分一括払いした
- 長期間のスキルアップ講座を購入し、途中で決算日を迎えた
例えば、レンタルサーバーの年間契約(12,000円)を11月に行ったとします。その際の仕訳は「支払手数料」です。
ところが、年間契約ですから、12月末に決算日を迎えた時点で契約があと10カ月分残っています。
この10カ月分の費用は、当期の費用ではなく次の事業年度で費用に計上しなくてはなりません。
そんな時は、決算整理仕訳でいったん「前払費用」に「残りの10カ月分」を振り分けて、決算を行います。
そして、新しい事業年度が始まった際に、改めて「残りの10カ月分」を「支払手数料」に費用として計上します。
これで、使った分だけの費用がそれぞれの年度に計上できるというわけです。
経費は事業年度ごとに分けて計上しよう
この「次の事業年度で費用になるはずの金額」を「前払費用」として分離し忘れると、見方によっては「来期の費用まで当期で計算して、経費を水増ししようとしている?」と受け取られかねません。
実際、そのような疑念を持たれて税理士から注意されることはあります
当期の経費と次の事業年度の経費は、きっちり分けてから決算を行いましょう!
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