地震や台風、ゲリラ豪雨などなど、日本では毎年どこかで災害が起こっています。
あなたも私も、いつ誰が被災してもおかしくないですよね。
災害は不可抗力で、仕事が中断したり締め切りに間に合わなくなることは仕方のないことです。ほとんどのクライアントが理解を示してくれるでしょう。
しかし、クライアントへの連絡・相談の仕方が悪いと、災害復旧しても次から仕事が来なくなる人もいるのです。
- フリーランスが災害の前にできる対策
- 被災者になった時にすべき最低限の対応
- クライアントにかける迷惑を最小限にする方法
- 次からも安心して仕事を任せてもらえる方法
順番に見ていきましょう!
フリーランスは災害が起こる前に動こう!
会社員であれば、台風接近時には会社から出社方針の周知があったり、電車が遅れたときは上司に連絡したりしますね。
しかしリモート勤務や在宅ワーカーの場合は、クライアントの会社の所在地と当事者の居住地が離れていますし、対面に比べて意思疎通もスムーズではありません。
実際、私がディレクションしていたライターチームでも、台風による千葉県の大停電で数週間ものあいだ電気が復旧せず、仕事ができなくなった人がいました。
この被災したライターさんが素晴らしかったのは、前もって「被災するかもしれない」と事前にアラートを発してくれたこと。
そして実際に被災した後は、スマホの充電があるわずかな時間に最低限の連絡を入れてくれたことでした。
この時、ディレクターである私は500km離れた地方で仕事をしており、連絡がなければライターさんがどのくらいの被害を被っているか、分からなかったんです。
フリーランスが災害が起こる前にすべきこと
突発的な地震の場合は無理ですが、台風やゲリラ豪雨などのときは、事前にクライアントに対して「突然連絡が取れなくなったら、被災してると思ってね!」という根回しをしておくと、万が一のことが起こっても慌てません。
たとえば「済んでいる地域に台風が直撃しそう」「河川の氾濫が起こりそうだとニュースで警告し始めた」というように、 実際の被害が起こる前に「私、ヤバそうです」とお知らせしておくわけです。
事前の根回しが済んでいれば、とりあえず2~3日は「被災したと思ってくれてるだろう」と割り切ることができます。
まずは被害を受けた自宅や家族のことに集中して、生活を立て直す方に注力できますね。
事前にクライアントと協議しよう
実は、私たちのチームでは台風接近の数日前に「もし誰かが被災したらどうするか」という方針を決め、クライアント担当者とライターさん全員に周知を済ませていました。
災害後、短い期間で電気やネットが復旧したとしても、自宅が被災していたらすぐに仕事を再開する余裕がない場合も多いのです。
- 破損・泥だらけの自宅の復旧作業で忙しい
- 断水して給水車と自宅の往復で忙しい
- 学校が休校になり子供たちの世話で手が回らない
- 水や食料の買い出し・役所の手続きで外出ばかり
そんなとき、「今抱えている案件より、自宅・家族のことを優先する」「連絡は余裕があるときでOK」という方針を決めていれば、万が一被災しても慌てなくても良いという心理的安全性を確保できます。
- つねに業務の優先度・締め切りを確認しておく
- クライアントに「台風の進路上にいる」「被災する可能性がある」と軽く連絡しておく
- PC破損に備え、やりかけの仕事・各クライアントの連絡先をクラウド上にアップしておく
洪水や土砂崩れのような災害でなくとも、落雷でパソコン周りの機器が全滅するトラブルもゼロではありません。
普段から、雷ガード機能のついた延長コード(電源タップ)を使うなどして対策しておきましょう。
フリーランスが被災した後にすべき対応
1つの会社と専属契約している人以外は、複数の会社と契約し複数の案件を抱えているフリーランスがほとんどです。
もちろん仕事の連絡より先に、家族や親族、友人の安否確認も行わなくてはなりません。
さらに、今後の避難先をどうするのか? 保険会社の手続きは? などなど…はっきりいって頭の中はパニックです。
普段から仕事の連絡先を整理したり、優先順位を決めるようにしておくと、緊急時にあまり頭を悩ませることなく適切な行動ができますよ。
- クライアントに「被災した」「停電した」と一言だけでも連絡する
- 誰かに渡せる仕事は、後のことを依頼する
- 無理に仕事を片付けようとしない
千葉県の大停電の際は、被災したライターさんは「現在、電力復旧の見通しが立たない」と連絡してくれました。
被災後は「いま分かっていること・分からないことを連絡する」のが大事です。
「見通しが立たない」という現状報告でもOKです。
別のライターさんは「実家が被災したため、復旧の応援に行くので仕事を休みたい」と連絡を入れてくれました。これもまた正しい対応です。
黙って復旧作業&ライター仕事という無理を続けると、本人だけでなくご家族の負担も大きくなっていたでしょう。
正社員であっても、自宅や親族宅が被災したなら仕事を休んで復旧作業に行くのは当たり前のことです。
ましてや業務委託や請負契約の立場であれば、雇用を保障してくれるわけでもないクライアントに過剰に義理立てする必要はありません。
堂々と、個人の事情で休んで構わないのです。
被災して仕事ができなくなった場合の責任は?
フリーランスが災害の被害にあってしまい、納期遅れや業務継続不可能な事態に陥った場合、どのような責任が発生するのでしょうか。
一般的な業務委託契約書では、以下のような記述があるはずです。
第 ● 条 (不可抗力等)
天災地変、風水害その他乙(あなた)の責に帰することのできない事由により、本件業務の範囲、業務報酬額又は有効期間を変更する必要が生じたときは、甲(クライアント)・乙(あなた)協議のうえこれを定める。
第 ● 条 (損害の負担)
乙(あなた)は、乙(あなた)の責に帰すべき事由により甲(クライアント)に損害を与えたときは、直ちに甲(クライアント)に報告した上、損害を賠償しなければならない。
この条文からいえるのは、
- 天災地変、風水害その他の被災者になった時は、クライアントに相談して今後のことを決めよう!
- 個人ではどうしようもない天災地変や風水害などが原因でクライアントに損害が発生しても、あなたに賠償義務はない
という事です。
念のため、自分の業務委託契約書を確認してみましょう。
ほとんどの業務委託契約書では、災害等が原因で納期遅れが発生しても、損害賠償の義務はありません。というか、そんな極悪非道な要求をするクライアントはほぼいないと思いますが…。
しかし、何にも連絡せず放っておくのは単なる「バックレ」と同じことです。
次からも安心して仕事を任せてもらえる方法
被災後は、どれくらいで通常業務に戻れるかの見通しを連絡すると、クライアントは大変助かります。
依頼した仕事について、被災者の復帰を待つのか・別の人に作業を引き継ぐのか、判断しなくてはならないからです。
電力の復旧の見通しが立たなかったり、PCが破損して買い替えるまで時間がかかったりする場合は、抱えている仕事を「誰かに引き継いでほしい」と申し出る勇気も必要です。
このとき仕事を投げ出す姿勢だと見られないよう「業務復帰まで1週間以上かかりそうです。納期が大幅に遅れてしまいますので、〇〇の仕事をどなたかに引き継いでいただいた方が良いかもしれません」という風に「納期遅れが心配なので」という責任感を打ち出しましょう。
一部地域の被災であれば、他の地域の人に仕事の引継ぎができるかもしれませんし、新型コロナウイルス感染症のように、クライアント側含めて全員の業務が滞っているような場合は、「納期に遅れてもいいですよ」とのんびりした答えが返ってくるかもしれません。
いずれにしろ、抱えた仕事を「被災を理由に投げ出す」よりは「被災しても仕事に責任を感じている」という態度が見える方が、あなたが通常業務に戻れた際に「次も仕事を任せよう」と考えてもらえる可能性は高いです。
報告・連絡・相談は大事ですね!
ちなみに、災害時の電源確保は大きな課題です。
避難所では数少ないコンセントの奪い合いが発生しますし、小さい子供がいて自宅に留まる場合、停電していれば冷暖房は使えませんし、スマホの充電もできません。
そんなときに、ポータブルバッテリーが1台あると、安心感が違います。キャンプやアウトドアで日常使いもできるため、コスパも◎!
こちらのポータブルバッテリーは7kgちょっとで、スーパーで売ってる10kgの米より軽く私でも持ち運びでき、おすすめです。